令和元年 「清田通」が全面開通へ
~ 昭和56年の改修工事による一部開通から ~
はじめに
「清田通り」は、明治の初期には「厚別(アシリベツ)北通」と称された通りでした。
旧国道36号線から光圓寺の前を通り、北上して、栄通り・東北通りに至る径でした。
開墾の頃は、道を造る余裕などない生活状態ですから、けもの道(鹿道)を利用していました。
ですから、「厚別北通」は、くねくねと曲がった道路状況となっていました。
それでも歩きやすいように木を伐り、木の根を掘り起こし少しずつは、直線に近くなりました。
しかし、昭和年代になっても曲線の箇所がいくつもある道路となっていました。
大きな樹々や除くことの出来ないような切り株が各所に残っていたからです。
1.大正5年国土地理地図
大正5年頃の「厚別北通」は、光圓寺・霜踏山を通り、二股の道の右側(現在の北野六条郵便局の東側の道)を通り、厚別川に沿うように「東北通り」に至っています。
「吉田用水路」が開削された後は、二股の道の左側(現在の北野六条郵便局の西側の道)を用水路に沿って頻繁に歩くようになったものと思われます。
現在の「清田通り」は、北野六条郵便局の西側を通り、コープサッポロの傍を通り、大谷地へと至る道路を指しています。
最早、光圓寺の前の通りを「清田通り」とは呼称されなくなったように、時代の流れの中で、利便性により人の流れが変化し、通りの名称が変化していったと言えます。
この地図では、吉田用水と本来の「厚別北通」が交差するように図示されています。
※ 大正5年当時、「栄(堺)通」と「東北通」は、未完で直線道路ではありませんでした。
2.昭和44年頃の「清田通り」
<昭和44年ゼンリンの住宅地図より> ※屈折した道がほぼ直線化されています。
上方が、白石区・下方が清田区となります。
方位は、上が北・下が南となります。
地図の「清田通」を薄茶色にしました、
旧国道36線から光圓寺前を通り、大谷地方面へ通じる道となります。
北野地域に団地造成の兆しが見え始めた頃となります。
※国道に近い箇所の宅地化が進んでいます。
新国道36号線(上北野~里塚間)の直線化工事<―(緑線)>が始まった頃です。
西側の団地造成に伴う道路工事のように感じられます。
(「新国道36線」の道路計画があったものと思われます。)
□にコカ・コーラ工場が見えます。
西側の団地名は「羊ケ丘団地」です。
(札幌静修短期大学の国道側の団地の区画)
未だ「札幌静修短期大学」から「羊ケ丘団地」を通り、旧国道への道(現ヤマダ電器の通り)が未完成となっています。
この地図では、光圓寺の前の道が、「清田通」でした。
注:昭和44年(1969年)3月31日、「札幌静修短期大学」が創立しています、その後、平成9年(1997年)4月に、「札幌国際大学」と名称を変更しています。
3,昭和55年頃の市販地図 より
羊ヶ丘団地が造成され、札幌静修短期大学(現、札幌国際大学)が創設され、国道36号線から大学へ通う道が整っています。
「清田通」は、光圓寺の前の通りから、旧国道36号線へと伸びています。
右下の「北野通」は、現在の通りとは異にしています。平岡中央バス営業所から、イオンの北側を通る道でした。
国道36号線(上北野~里塚 間、約5km、直線化)ついては、昭和43年頃より工事が進められて、昭和46年(1971年)に新国道36号線として開削され完成しました。
難工事だったらしく、4年程の歳月をかけての竣功となりました。
「羊ヶ丘団地」の北側は、現在の「北海道農業研究センター」の敷地です。
国道36号線の東側の<豊平区と清田区>との境界線は、吉田川の川筋となります。
昭和44年3月31日に「札幌静修短期大学」が設立されると同時に、大学の「付属幼稚園」が校舎の北側に設置・開園しました。
昭和55年当時の学校として、清田小学校・清田中学校・清田南小学校・北野小学校・北野中学校・清田高校が記されてあります。
(その他に、三里塚小学校・有明小学校・北野台小学校がありました。)
清田団地に続いて、八望台団地・羊ヶ丘団地等が造成されました。
※「八望台団地分譲地」道開興業(株)の宅地造成(昭和39年5月頃)
※「札幌羊ヶ丘分譲地」(有楽地区・有楽団地)の宅地造成(昭和42年5月頃)
ゼンリンの住宅地図 昭和55年度版より
旧国道36号線と新国道36号線の間の「清田通」は、まだ造成に至っていない状況です。
ゼンリンの住宅地図において、「清田通」は、昭和55年度版(前年度調査)では未完です。
昭和56年度版(前年度調査)では、完成となっています。
4.「清田通」の改修工事計画と進まない全面開通
「清田通」の改修工事の内容を記録より記して置きます。
「清田通」は、札幌市土木部建設課の記録では、昭和55年(1980年)着工・56年(1981年)3月竣功となっています。
・起点:白石区流通センター(平和通交点)
・終点:清田区清田7条1丁目(清田中央通交点)と、しています。
その際、「札幌静修短期大学」の東側を通る道路は、様々な経緯から「計画」としました。
昭和56年に「清田通」の改修工事を終えたのですが。「札幌静修短期大学」の南側の部分の工事は先送り状態となっていました。しかし、ようやく平成24年(2012年)に着工し、令和元年(2019年)12月20日に完成し、「清田通」は全面開通しました。
5.旧国道36号線付近の「清田通」の工事の概要 その1
「札幌市建設局土木部」より 工事図面
上が北で、下が南です。
桃色の通りは、「栄通・東北通」です。
上方が白石区(白石村)で、下方が豊平区(月寒村)でした。
旧「清田通」」は、細く屈曲した部分もある道で、多くは、けもの道(鹿道)であったと考えられます。
旧道との間には、ガソリンスタンドが設置されてありました。
曲がりの大きな箇所は、出来るだけ直線と曲線を取り入れて、車社会に対応するよう設計され施工されました。
道幅も余裕を持って設計されています。
左図面の箇所も曲がりが大きい所です。
現在も旧道があり、その間には、喫茶店・菓子店が設置されてあります。
左の台形の箇所は、以前水田であったと思われます。
「清田通」は、吉田用水と並行するような形で道路が出来たと言えます。
一昔前までは、周り一帯が水田地帯とあったと言えます。
下方(南側)は、旧国道36号線及び新国道36号線へと続く道路となります。
「清田通」の細い曲線道路が、幅広くなり、ほぼ直線の道路となっています。
6.旧国道36号線付近の「清田通」の工事の概要 その2
「札幌市建設局土木部」より
工事平面図
左側の道は、光圓寺への通りです。
・光円寺、北野墓地へ通じていた道。
・この道が、「清田通」と呼称されていました。
左側の道は、畑の道です。
・周りが水田だったため、この道は農道や近道として利用されたと思われます。
・この付近は、水田となっていました。
直線で旧国道36号線へ向かう道路として、新たに開削されました。
左側の道は、旧国道36号線の通りです。
・明治6年完成の札幌本道(室蘭街道)となります。
左側の側溝は、トンネ川の川筋です。
・清田団地の7・8条辺りからこの箇所へ流れていました。
・トンネ川は、コカ・コーラ工場へと流れ込み、そこから厚別川へ合流していました。
現、ヤマダ電器の箇所は、「馬背山」と呼称された小高い台地となっていました。
左側の道は、新国道36号線の通りです。
国道を越えると「札幌静修短期大学」へ通じる道となります。
7.全面開通した「清田通」
「清田通」が、2019年(令和元年)12月20日にようやく全面開通しました。
12月21日(土)付けの北海道新聞にその記事が載っていますので転載します。
札幌市清田区の市道清田通の延長区間約4700㍍が20日開通した。札幌国際大(清田4の1)に面した部分で、これまで南北に分かれていた通りが総延長約5・9㌔の一つの道路としてつながった。周辺道路の渋滞緩和が期待される。
延長区間は片側2車線で2012年度から工事を進めていた。事業費は約26億。
完成により、白石区の市道平和通との交点から、清田区の市道清田中央通との交点までが一本で結ばれた。
清田通は国道36号や、市道羊ケ丘通などと交わる交通量の多い道路だが、これまでは分断していたため、近隣の市道は迂回する車で渋滞が発生するなどしていた。
延長区間が午前11時に開通すると、さっそく多くの車が通行を始めた。沿道では、清田中央地区町内会連合会の会員約60人が旗を振って交通安全を呼び掛けた。
(樋口雄大)
今回の工事による、開通の部分
清田区清田4条1丁目
札幌国際大学の東側の通りです。
以前までは、羊が丘通から清田7条へ向かう場合、札幌国際大学の正面から左折し、再び右折て、清田中央公園の西側の通りを南進し、再び清田通に入るには、細い通を、右折・左折を繰り返さなければなりませんでした。
見通しが悪い上に、道路幅が狭い箇所もあり、危険な通路であったとも言えます。
<開通した道路は、左図の赤線の部分です。>
<北海道新聞>掲載された写真と説明の文言
『20日に開通した清田通の延長区間。開通後、多くの車が通行を始めた。』
左側が、札幌国際大学です。
開通した片側2車線の幅広い道路となっています。
下方が南・上方が北となります。
右側が札幌国際大学です。
左側が、清田中央公園です。
上方が、南側で、清田7条方面へ向かう「清田通」です。
終点は、清田区清田7条1丁目(清田中央通交点)となります。
8.「清田通」の起点について
白石区流通センターの南側
平和通の交点が起点です。
平和通の交点~札幌新道~国道12号線~地下鉄南郷18丁目駅から南進します。
白石区から清田区へと伸びています。
次図に「清田通」の延長を記載します。
前図、地下鉄南郷18丁目駅の交点より の続きです。
白石区から、「栄通・東北通」を過ぎると 清田区となります。
「栄通・東北通」から、北野7―1までの100m程の区間が、豊平区と清田区の境界となっています。
「栄通・東北通」を越えてひたすら 南進します。
概略は、次の通りです。
東北通~北野西公園の西側~北野児童会館の東側~北野通の交点~北野平小学校の西側~光圓寺の東側~北海道コカ・コーラボトリングの西側~旧国道36号線~現ヤマダ電機~新国道36号線~札幌国際大学へと向かう事となります。
ところで、旧国道36号線付近より国道36号線までの「清田通」は、早くに完成していましたが、札幌国際大学の東側の開通にはかなり手間取りました。
「清田通」の完成・開通には、時間と協議があり、開削・改修工事にこ ぎ着けました。
様々な紆余曲折があったのです。
ようやく完成し、全面開通に安堵しています。
記:きよた あゆみ(草之)